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The Model をアイドルプロデュースで考える。【新卒と学ぶ!セールステック Vol.3】

こんにちは!UPWARD の山倉です。
今年の4月に新卒でUPWARDに入社し、広報・PRチームの一人として働いています。

このnote連載「新卒と学ぶ!セールステック」は、新卒ならではの目線から、とっつきにくい印象のあるセールステックを分かりやすく発信する場を目指しています。

※「セールステック」とは、「Sales」と「Technology」を組み合わせた造語で、営業活動の効率化・最適化を実現する概念やITツールのこと。UPWARDのプロダクトも、セールステックの一つです。

これまでの記事では、「CRM」「SFA」についてそれぞれ解説しています。
ぜひ、こちらも合わせてご覧ください!

第3回では、「The Model(ザ・モデル)」について解説していきます。

「初めて聞いた!」という方もたくさんいらっしゃると思いますが、実はこれ、SaaS企業に勤めていれば、ほとんどの人が耳にするくらい浸透している概念なのです。
最後に少し触れますが、UPWARDの営業組織もこのThe Model を基盤としています。

SaaS業界に興味がある方、マーケティングや営業、カスタマーサクセスといった職種に興味がある方にとっては、今後学ぶことになる可能性が高いテーマ。
事前に理解しておくと、これから先のインプットが楽になります!

こんな方に読んでほしい

  • 視野を広げて、就職の選択肢を増やしたい学生の方

  • 未経験だが、SaaS業界やBtoBビジネスに興味のある方

  • UPWARDの組織構成について詳しく知りたい方


SaaS業界のキーワード、The Model(ザ・モデル)とは?

「The Model」とは、セールスフォース社で生まれた分業制の営業スタイルを指します。

2019年にセールスフォース出身の福田康隆氏による著書、『THE MODEL―マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』が出版されたことで注目を集め、今では多くのSaaS企業がこのビジネスモデルを取り入れています。

※SaaS(Software as a Service)とは、インターネットを介して利用できるソフトウエアサービスのこと。Web会議システムやチャットツールなどが代表例。

分業すれば、同じリズムの仕事に集中することができる。そうすることによって効率が上がり、次第にゾーンに入っていくような感覚が出てくるのだ。

福田康隆『THE MODEL―マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』p.20

上記に引用したように、分業によって業務効率が向上し、チーム全体のパフォーマンスが上がる、というのがThe Model の大きな強みです。

The Model は以下の4部門から構成されています。

The Model でのプロセスを示した画像。マーケティング=見込み客(リード)の獲得、インサイドセールス=見込み客へのフォローと商談化、営業=商談・受注、カスタマーサクセス=定着・活用支援、契約更新。

【マーケティング】

  • 主な役割は、見込み客(=リード)を獲得すること

  • 見込み客とのコミュニケーションにより、サービスへの興味関心や購買意欲を高める(=ナーチャリング)

  • 施策例:ウェブサイト、メール、オウンドメディア、展示会、イベント、セミナー、etc

【インサイドセールス】

  • 主な役割は、見込み客(=リード)を商談につなげること

  • 商談に至らなかった(=失注)リードに対しても、定期的なフォロー

  • コミュニケーション手段:電話、メール

【営業(フィールドセールス)】

  • 主な役割は、購買意欲のあるリードに対して商談を行い受注に結びつけること

  • 商談の進行状況によって、フェーズ管理を行う

【カスタマーサクセス】

  • 主な役割は、導入後の定着・活用支援と、契約更新のフォロー

  • 取り組み例:問い合わせ窓口、導入コンサル、ユーザーガイド、セミナー、etc

このように、「マーケティング」「インサイドセールス」「営業」「カスタマーサクセス」の4部門が協力しながら進んでいくのが The Model の特徴です。

The Model を「アイドルグループのプロデュース」で考える

The Model でのプロセスをより具体的にイメージできるよう、ここからは一般的なビジネスの場面とは離れて、「アイドルグループのプロデュース」に例えて説明してみたいと思います。

状況設定は以下の通り。

あなたはアイドルグループのプロデューサーになりました。
グループのコンセプトはすでに決まっており、来年デビューが目標です。
これから約1年かけて、アイドルの募集からデビューまでプロデュースしていきます。

The Model を取り入れた場合と、そうでない場合を比較しながら見てみましょう!

【Before】 従来のプロセス

まずは、The Model ではない、従来のプロセスで進めた場合です。

以下の図のように、あなたは4名のスタッフを抱えながら、プロデューサーの立場で全体をまとめています。

The Model ではない従来のプロセスでプロデューサー業務を行なった場合のイメージ図。(候補者の募集・スカウト、書類審査、オーディション、面談、契約、レッスン、メンタルフォロー)

アイドルグループをデビューさせるまでの業務は多岐にわたります。

SNS上でのアイドル候補者の募集・街中でのスカウト活動から始まり、書類審査に歌やダンスのオーディション……。
面談を経て、無事に契約が決まった後も、デビューに向けたレッスンやメンタルフォローが必要です。

こういった様々な業務を、4名のスタッフがマルチタスクで進めている状況ですが、あなたは二つの問題点に直面し、危機感を覚え始めました。

一つ目は、それぞれのスタッフが幅広い業務をこなしているがゆえに、非効率になっていること。
例えば、あるスタッフは書類審査とオーディション、面談を全て行っていたり、別のスタッフはレッスンとメンタルフォロー両方を行っていたりします。

こうなると、時間が足りないことに加えて、性質の異なる業務を並行して行わなくてはならないため、業務効率が上がりません。

もう一つは、思うような結果が出ない際に「何が問題なのか」「どう対処すればいいのか」が見えづらいという点です。

仮に、アイドル候補者の辞退が多いという場合、「選抜フローに問題がある」「契約条件が悪い」「レッスンが厳しすぎる」など色々な原因が考えられますよね。
本来、業務ごとの状況を把握する中で問題の原因を特定し、そこから対処方法を考える必要があります。

しかし、このプロセスにおいては4名のスタッフが性質の違うタスクを複数抱えているため、それぞれの本質的な課題に気付くことができず原因の特定が難しくなっているのです。

【After】 The Model でのプロセス

次に、The Model を取り入れた場合です。

以下の図のように、業務を4つのフェーズに分け、専門のスタッフを1名ずつ配置。あなた自身は、プロデューサーとして全体の統括に回ります。

The Modelでプロデューサー業務を行なった場合のイメージ図。募集・スカウト(候補者の募集・スカウト)→審査(書類審査・オーディション)→契約(面談・契約)→育成・フォロー(レッスン・メンタルフォロー)


先ほどの図と見比べると、違いは一目瞭然!
各部門での役割を整理し、それぞれのスタッフが自分の仕事に注力できるようになりました。

【募集・スカウト】(マーケティング)
「いかに適性の高い候補者を多く集めるか」に集中し、募集・スカウト活動を行う

【審査】(インサイドセールス)
集まった候補者の中から、「歌やダンスの能力」「カリスマ性」「コンセプトと合うか」など、アイドルグループの条件に合う人を選抜する

【契約】(営業)
審査を通過した候補者と、保護者面談や条件交渉を経て、実際にアイドルとしての契約を行う

【育成・フォロー】(カスタマーサクセス)
契約後、デビューに向けてのレッスン・メンタルフォローを行う

このように、スタッフがマルチタスクから脱却し、それぞれの専門分野で自身の役割に集中することができるようになったため、業務効率が格段に向上しました。
これは、The Model を取り入れたことによる恩恵の一つです。

また、専門のスタッフが一つの領域に特化して業務に取り組むことで、各部門の状況把握や分析が可能になります。部門間の連携という形で、情報共有も以前より簡単になりました。

プロデューサーのあなたはこれによって、思うような結果が出ないという場合にも、問題の潜んでいる場所を特定し、そこに向けた対処をすることができるようになるのです。

The Model のデメリットと、その乗り越え方

以上、「アイドルグループのプロデュース」という一風変わった例え話で The Model を説明してみましたが、いかがだったでしょうか?

「業務効率が向上し、チーム全体のパフォーマンスが上がる」「問題の原因を特定し、そこに対してすぐに対策ができるようになる」といった、The Model によるメリットは十分理解していただけたのではないかと思っています。

一方で、The Model は万能薬というわけではなく、デメリットも存在します。
それは、組織が部門ごとで分断されてしまうリスクがあるという点です。

各部門がそれぞれの目標を追求することで、組織全体の目標が見えにくくなったり、部門間のコミュニケーション不足により、組織としての一体感が失われたりする可能性があります。

こういった事態を避けるために重要となってくるのが、組織全体の目標を明確化し、全員に意識づけること。
そして、部門間で意識的に密なコミュニケーションを取ることです。

この2点を押さえれば、The Model のデメリットを乗り越え、部門同士で連携しながら全体目標に向けて一丸となって進むことが可能になります。

UPWARDとThe Model

最後に、UPWARDの営業組織について紹介します。

UPWARDの営業組織はThe Model をベースに、4部門に分かれています。
(この中でも一部枝分かれしていますが、ここでは割愛。)

UPWARDのビジネスグループの構成図。マーケティング部門→インサイドセールス部門→フィールドセールス部門→カスタマーサクセス部門。カスタマーサクセス部門以外は、セールス&マーケティング本部として括られる。


特徴的なのが、The Model を構成する各部門が集まって一つのグループを形成している点。
さらにそのうち、マーケティング部門、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門は「セールス&マーケティング本部」として一括りにしており、より密に連携して業務を進めています。

つまり、部門ごとに分かれているものの、全体では一つのチームとして機能しているのです。
そのため、目標の共有や部門間の連携がしやすく、前述したThe Model のデメリットも克服できるようになっています。

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